あの月を飼う日まで

アニメ×邦楽ロックの感想ブログ、たまに備忘録

【音楽】JAPAN JAM 2022に行ってみて思ったことなど

先日、5/5に行ってきましたJAPAN JAM 2022。音楽雑誌「ROCKIN’ON JAPAN」を発行するロッキング・オン・ジャパンクリエイティブマンプロダクション主催で、千葉市蘇我スポーツ公園にて毎年GWに開催される大型音楽フェスの一つ。ライブそのものはもちろんですが、それ以外にも思うところが色々とあったので、ちょっとばかし書き連ねようかなと。

 

 

japanjam.jp

 

 

 

異様だった昨年度開催

 

新型コロナウイルス感染症の感染が拡大してから早2年ほど。このフェスは2020年が開催中止、翌年2021年、そして今年2022年は開催に踏み切った。自分は2021年度にも参加した。

コロナによる影響は、屋内のライブハウスのみならず、屋外であってもは避けられない。政府公認のガイドラインに沿いつつ、感染者を発生させないためのルールが徹底された。とりわけロックというジャンルであれば、前方側は観客同士の体が密着するのが常だったが、その光景も今はない。個々のスペースを確保した上で楽しむ、アーティスト側は楽しませることが必要となる。観客は声出しも禁止され、代わりに拍手が観客側の出せる数少ないレスポンスの手段である。間違いなくライブの在り方がウイルスをきっかけに根底から変わってしまった。

そんな環境下、2021年度開催ではさらに別の要因が介入し、異様さが増したものとなってしまっていた。それは報道メディアの存在である。会場の最寄り駅から入場口付近までに報道スタッフの姿、上空にはヘリまで飛ぶ始末。一日約1万人に入場者数が抑えられたとはいえ、当時開催されるイベントの類では、比較的大人数が集まるため、注目されるのも無理はない。ただ、ここで問題だったのは報道の仕方。もちろん各メディアで差はあるが、批判的なものも少なからずあった。大半*1はルールを守っているのにもかかわらずである。同調圧力と言うべきか、「みんな我慢してるのに、外でワイワイ楽しんでいる人達がいるぞ」と晒上げるように。上空から映した映像では観客が密着したように見えても、現地に足を運んだ人は分かるが、実際にはスペースも確保されている。音楽番組を取り扱う局が誤解を招くような報道をしていた。裏切られたような気分である。ロッキング・オン・グループ代表取締役社長である渋谷陽一氏も開演前の挨拶でそうした状況に対して苦言を呈した。ただ結果的に、報道に対する反骨精神がスタッフ・アーティスト・観客が一丸となって感染者を出させないという共通意識をより高めたのかもしれない。自然と自分も周りにルールを破っている人がいないか、目を光らせるようになり、純粋に心の底から楽しめるものではなかった。これまでよりも観客側の行動が今後の開催を左右する。外部から監視されているような状況での音楽フェスは異様でしかなかった。

 

 

2022になっての変化

 

そんな2021年度開催を経て、2022年度の開催。最大10万人キャパの会場に対して3万人弱の入場者数と倍以上の数。併せて会場レイアウトも大幅に変更された。ステージ数が全3ステージから2ステージに。フードエリアもステージの真裏にあり、観客の移動量が極力少なくなるようなものに。

他にもステージ数の変更に伴う出演アーティスト数の変更など諸々あるのだが、何といっても一番の変わったところはアーティスト・観客の双方が楽しむ姿だろう。アーティストのMCやSNSでの発言からもそれは伝わる。昨年度は楽屋が完全に区切られ、フェスの醍醐味の一つであるアーティスト同士の交流もなかったが、今年度はその制限もないようであった。世間的にも今回のGWは緊急事態宣言等の発令がなく、各メディアも打って変わってレジャーを楽しむ人達の様子を好意的に映す。変わらず声出し禁止などの制限はあるものの、「楽しんでいいんだ」という肯定感。

親に連れて来られながらも知らないであろう音楽に身振り手振りで反応する子供、SNS映えするモニュメント前で記念撮影するカップル、仲良くお揃いコーデをするグループ、仁王立ちで若手が出演するステージを見つめるおじさん、etc. かつて見慣れた光景がそこにはあった。個人的には、モッシュ出来ない代わりにその場で足をバタバタさせてる観客の姿が面白かった。

 

 

簡易レポ

 

せっかく観に行ったので、何組かの簡易的なレポートをば。


14:15~ MY FIRST STORY @SKY STAGE

 

01. 不可逆リプレイス
02. アンダーグラウンド
03. 大迷惑
04. REVIVER
05. モノクロエフェクター
06. I'm a mess
07. 猿真似ドロップアウト
08. With You

ライブを観たのは約3年振り。サウンドチェックでは、同日に出演するマキシマム ザ ホルモンの代表曲『恋のメガラバ』をカバー。耳に馴染みのある楽曲に思わず別ステージから足を速めて移動する観客達(会場内で走っちゃいけません)。マイファスはアニソンアーティストやアイドルとコラボするなどジャンルの垣根を越えるバンドだけども、こうしてバンド同士の繋がりを感じさせる曲選も良いなと。
ロディアスでテンポが速めの曲が表題曲に多めだったが、HIP HOPの要素も新たに入ってきたりテンポを落とした最新アルバム『V』以降の楽曲のおかげで、セトリの緩急もついてバランス良くなってきた印象。

 

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16:30~ 東京スカパラダイスオーケストラ @SUNSET STAGE

 

01. DOWN BEAT STOMP
02. 会いたいね。゚(゚´ω`゚)゚。
03. Paradise Has No Border
04. LOST IN PARADISE with. ALI&AKLO
05. サボタージュ VS. ALI
06. HURRY UP!!
07. 銀河と迷路 feat. Gen

アーティスト同士のセッションがコンセプトの一つでもある本フェスにマッチしたアーティスト。今回はALI&AKLOにGEN(04 Limited Sazabys)がゲスト。ステージ上での共演は中々観られる機会がないので、できればフェスでチェックしておきたいアーティスト。そんな中、コラボ曲の披露は予想通りでも、呪術廻戦ED1曲でもある『LOST IN PARADISE』は予想外。イントロで「おやっ?」となる観客の反応が面白かった。ALIを生で目にするのは初めてだったけども、ジャケットが似合うなぁと。格好いい。『銀河と迷路』を初めて聴けたのも嬉しいところ。バンドから離れた疑似ソロ活動のような姿を見られるのが良いなと。

 

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17:15~ マキシマム ザ ホルモン @SKY STAGE

 

01. 握れっっっっっっっっっ!!
02. maximum the hormone Ⅱ~これからの麺カタコッテリの話をしよう~
03. 鬱くしきOP~鬱くしき人々のうた
04. Mrブギータンブリンマン
05. 恋のスウィート糞メリケン
06. 川北猿員
07. my girl
08.「F」

この日のラウド・メロコア・パンクの割合が多め*2。自然とヘドバンする機会もあるが、とりわけ多いのがこのバンド。観客が一斉にヘドバンする光景は何回見ても圧巻。体感的にはこの日で一番人が集まっていたかも。
セトリにはフェスとして比較的珍しい初期の楽曲が並ぶ。若干の初見殺し。それでも背後のディスプレイに映る映像演出やときには振りのあるパフォーマンスによって楽しめませてくれる。サウンドは激しいし歌詞は過激だけども、エンターテイメント性の高いバンドであることを証明。相変わらずMCも面白く、04 Limited SazabysのGENのMCで話していたナヲの「フェスじゃん」を回収。マイファスのHiroやcoldrainのKatsumaのイジリも。こういうやり取りもフェスならではだよなと。

 

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18:00~ UNISON SQUARE GARDEN @SUNSET STAGE

 

01. ライドオンタイム
02. オリオンをなぞる
03. 桜のあと(all quartets lead to the?)
04. 摂食ビジランテ
05. エアリアルエイリアン
06. 世界はファンシー
07. マスターボリューム
08. 10% roll, 10% romance
09. kaleido proud fiesta
10. シュガーソングとビターステップ
11. フルカラープログラム

SUNSET STAGEのトリを務めたユニゾン。ホルモン(のMC)により数分押していたため、やや急ぎ足でステージ前に向かう。この時間帯になると夕焼けとなり、スモークがたかれたステージ上も照明によって綺麗に照らさせる。
これまでに出演したフェス同様、今回もMC無し*3で曲間もほぼない*4パフォーマンス。出演時間を演奏にフル活用するスタイルは何回見てもしびれる。そのパフォーマンスに観客もざわつく。
セトリではフェスとなると盛り上がる曲が目立つ中、サビまで音数の少ない『摂食ビジランテ』が際立って印象的だったなと。
ロケーションも相まってこれまで観たフェスのユニゾンではベストだったかもしれない。それはさておき出番前に「自分が観るときはオリオンなぞらないんだよな~」と嘆いていたとある観客の反応が気になります。

 

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最後に

 

若干お気持ち的な文章も入ってしまいましたが、要はコロナ関連であった憤りから解放され、音楽フェスが本来の形に戻りつつあるのが実感できて嬉しかったなという内容でした。まだ収束に至らないものの、確実に一歩前進できているのではないかなと。

今月末には『森、道、市場 2022』の方にも参加する予定なので、そっちも楽しみ。

 

 

今回はこんなところで。それではまた。

 

*1:観客と思われる人物が路上飲酒する姿が番組では映された

*2:大体のフェスは日ごとである程度ジャンルや世代で固めた出演者にしている

*3:言葉を発したのはお決まりの「ラスト!」と「UNISON SQUARE GARDENでした!バイバイ!」位、ワンマンだとMCはある

*4:大半は楽器の交換や小休憩のために間を空ける