突然ですが、みなさんは作画MADを目にしたことはありますか?
作画MADとは、ざっくり言えば作画を重視して抽出したアニメ映像に音楽を乗せて編集した二次創作のことで、遡れば2006年に2ch(現5ch)に投稿された磯光雄さんのものが起源とか何とか。ここでMADそのものの意味に触れると話が脱線するので、それは興味があればご自身でどうぞ。
今回の記事では、その作画MADを前後編に分けて紐解いていきたいなと。前編は改めて作画MADとは何ぞやという話。
どうやって視聴するの?
YouTubeやニコニコ動画など各種動画投稿サイトで「〇〇(アニメーター名など気になるワード) 作画MAD」と検索するだけ。至って簡単。海外の方が作成したものは「sakuga」の方が検索に引っ掛かりやすい。なお、ニコニコ動画では、「アニメーターAMV」という独自のタグでも検索できる。
視聴するメリットは?
第一にテロップ上では判別できないアニメーターの担当パートをまとめて観られること、第二に良い(とされる)作画を見分ける目を養えること。もちろん投稿者の主観ないし、推測が混じったものなので、あくまで参考程度に留めて盲信はしないように。
既に好きなアニメーターの方がいるならば、担当パートの振り返りに。そうでない場合でも、自分が好きだったあのシーンとあのシーンを描いていたのが実は同じアニメーターだった...なんて出会いも。
どんな種類があるの?
一言で作画MADとは言ってもその内容は多種多様。ここでは大まかに4つに分類。
①アニメーター別
原画、あるいは作画監督単位での担当パートがまとめられたもの。
ご本人から「これ死んだ時に作ってもらえるやつだよね」との言葉をいただけたら本望。
《特徴》
視聴者
- アニメーター単位の映像を観ることができ、特徴を掴みやすい
- アニメーターご本人が自身の経歴の紹介として利用できる
投稿者
- sakugabooruでタグ付けされていれば、素材は収集しやすく作成難易度は低め
- 知名度の高い方を対象とした場合は投稿数が多いため、差別化が求められる
②作品別
ある特定の作品に絞ったもの。ここではさりげなく自分が作成したものを例に挙げる。
《特徴》
視聴者
- 基本的に対象作品を知っている人向けだが、内容面に興味のない層にも向いている
- 長期作品でも短時間で振り返ることができる
投稿者
- sakugabooruでタグ付けされていれば、素材は収集しやすく作成難易度は低めだが、マイナー作品や長期作品の場合はその限りではない
- 作品のファンも視聴ターゲットに設定すると、キャラの関係性やストーリー、時系列まで意識して編集する必要が生じる
③シチュエーション別
ある特定の事象や動作に絞ったもの。具体的には以下のように細分化できる。
- エフェクト:炎、水、電撃、煙、爆発など
- 日常芝居:歩き、走り、喜怒哀楽、食事など
- アクション:体術、武器術、背景動画など
- その他:〇〇系、髪や服の靡き、残像表現、ショックコマなど
《特徴》
視聴者
- 資料としての意味合いが強く、比較的アニメ制作者向け
- アニメーターごとの描き方の特徴を比較しやすい
投稿者
- sakugabooruでタグ付けされていれば、素材は収集しやすいが数が膨大なため、取捨選択に苦労する
- 同じような映像が続くため、視聴者に飽きさせない作りが求められる
④複合
上記以外のアニメーターや作品の枠を越えたもの、かつ特定のシチュエーションに拘らないもの。月別や年別といった特定期間で区切ったものもここに含めておくが、近年は作品数が膨大なためか絶滅危惧種。
《特徴》
視聴者
- 資料というより、映像作品としての意味合いが強い
- 作画にさほど興味のない層にも向いている
投稿者
- 縛りが無い分、ある程度テーマを設定する必要があり、作成難易度が高い
- 素材の選定に構成やカット繋ぎなどインプットの多さや編集力の高さが求められる
投稿者の紹介
自分が認識している現在進行形で活動している投稿者の総数は2~30人程度。ここではその中から計5名を勝手に紹介。是非お気に入りの方を探してみてください。
※特に紹介順には意味がないのであしからず。
①Hobbes Sakugaさん
恐らく最多のチャンネル数と再生回数を有している方で、今回紹介する中では古参。既に観たことがある方もいるのでは。
Hand to Hand Fighting 武道 Sakuga MAD
《特徴》
- 種別:主にシチュエーション別
- 投稿サイト:YouTube
- 投稿頻度:年に3、4本
- 1990年代の作品も扱っている
- 字幕表示によって、アニメーターと作品名、該当話数が表示される仕組みで視聴スタイルが選べる
②koharuさん
山下清悟さんの作画MAD、通称"yamad"の継承者だと自分が勝手に思っている方。エモーショナルな編集で余韻が残る。
《特徴》
③みやしたかいとさん
とにかく投稿頻度が高いので、直近の作品もカバーしたい方は是非。今回紹介する吉原さんの作画MADのサムネイル画像はご本人から直々にいただいたそうで羨ましい。
吉原達矢(Tatsuya Yoshihara) sakuga MAD
《特徴》
④Bloo Sakugaさん
まだ投稿数はさほど多くないものの、編集が巧い方で今後も要注目。個人的に楽曲のジャンルが邦楽ロックなのがポイント高し。
Kouki Fujimoto [藤本航己] Sakuga MAD
《特徴》
- 種別:主にアニメーター別
- 投稿サイト:YouTube
- 投稿頻度:年に3、4本
- 音ハメを意識した編集
- 違和感の無いカットの繋ぎ
⑤iy itさん
年に一度、その年の総括MADを上げる方。謎多き存在。
《特徴》
- 種別:複合(年別)
- 投稿サイト:YouTube
- 投稿頻度:年に1本
- 小刻みなカット割りで、5分弱でも網羅性が高い
- 曲の歌詞とリンクした映像構成
最後に
これにて前編は終わり。作画MADを以前は観ていたけど最近は...な方も今回初めてその存在を知った方もこの記事が触れるきっかけになってくれれば嬉しいところ。
後編は今回紹介できなかったものに触れたり、投稿者向けの少々辛辣な内容になるかも...?続きます。
⇒後編を公開したので、以下のリンクからどうぞ。
今回はこんなところで、それではまた。