あの月を飼う日まで

アニメ×邦楽ロックの感想ブログ、たまに備忘録

【音楽】2021年総括 お気に入り楽曲集

ひさしぶりの音楽記事。決して忘れていた訳ではない。早いもので2021年も終わりが近づいてきたので、今年気に入った曲などを簡単に振り返ってみようかなと。
※埋め込んだSpotifyは音量に注意

 


今回は単曲とアルバムに分けて5つずつ紹介。
ほぼほぼ邦楽ロックです。それではどうぞ。

 

単曲

 

[Alexandros] 『閃光』

 

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 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』主題歌。一度シングルをリリースすれば必ずといっていいほどにタイアップが付くバンドだが、意外にもアニメタイアップは今回が初。PVをきっかけとしたネットミームで一部の層への知名度は高し。因みに楽曲がアップテンポなのは制作側のオファーによるものである*1

BIGMAMAのリアド偉武(Dr)正式加入後の楽曲であり、2番Aメロから手数が増やし疾走感を増すドラムが前面に出た存在感のあるアレンジ。劇中での苛烈さが増し取り返しのつかなさをイメージさせる。疾走感はありつつも、決して爽やかではないどこか陰りのある乾いたサウンド

作品と楽曲のリンクは歌詞やPVからも読み取れる。PVの撮影場所は茨城県の製鉄所で行われており、さながらモビルスーツが格納された基地のよう。 度々映る白色のシャツは劇中でハサウェイも着ていたものだが、まだ何色にも染まらない皺もついていない生まれたての状態。その白が何色に染まるのかは如何に。

 

 

the engy『Funny Ghost』

 

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2019年メジャーデビュー京都出身の4人組バンド。京都というだけでお洒落そうである。生音と打ち込みが溶け込んだリズミカルなサウンドに情熱的なボーカルが印象的な楽曲。「nothing」や「name」などリピートする歌詞に掠れ声のフェイク*2が大切な"君"への想いを強める。音源によっては消されるようなブレスも一役買っている。

音源の時点で完成度が高いが、ボーカルの裁量が大きい分、ライブ映えすること間違い無し。照明演出ともマッチしそうである。
メンバー全員が眼鏡という地味に珍しいルックス。何だか親近感。

 

 

coldrain『PARADISE(Kill The Silence)』

 

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今年唯一リリースされた配信シングル。コロナ禍でライブ中に観客が未だ声を出せずモッシュもできない状況下、いつか本来のあの場所へ戻るための決意の楽曲。静寂を切り裂くようなラウドロック全開の重低音とスクリーム。観客との掛け合いパートがあるのも熱い。

MVの撮影場所は2022年1月に惜しまれながらも閉館が決定している新木場STUDIO COAST。姿は無くしても映像として後世に残っていく。楽曲もさることながら、共に生きる場所を大切にしたいアーティスト側の想いが伝わる。

因みにMasato(Vo.)は『呪術廻戦』の挿入歌『REMEMBER』でボーカルを務めた他、『るろうに剣心 最終章 The Final』主題歌のONE OK ROCK『Renegades』の制作に協力。活動の幅を広げていく今後にまだ目が離せない。

 

 

Mellow Youth『Odor』

 

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2017年結成の5人組バンド。ダブルA面の2ndシングル曲。ロックバンドには珍しく哀愁を漂わせる石森龍乃介(Vo.)とソリッドで音に厚みを持たせる伊佐奨(Vo./Gt.)異なるタイプのツインボーカル。昭和の歌謡曲を現代のシティポップ・ミクスチャーロックに落とし込んだようなメロディが特徴的な楽曲。

近年の音楽シーンにも埋もれないような個性を持つ。バンド名の通り、成熟(mellow)と若さ(youth)を併せ持つ彼ら。既に完成度が高いが、現時点で20代前半のメンバーがこれから歳を重ねていくに連れて、さらに艶が増していく様子が楽しみになる1曲。

 

 

LiSA『往け』

 

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『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』主題歌の配信シングル。SAOには初代OPから幾度も主題歌を担当し、今回のリブート作品では再びタッグを組むことに。

作曲は昨年にLiSAと同じく紅白歌合戦の出場も果たしたYOASOBIのAyaseが担当。軽快でテンポの落ちないサウンドと歌い方で結末まで一気に駆け抜けていく。近年のネット発アーティストらしく畳み掛けるような展開が持ち味の楽曲。それでいてブレスの暇もないほどの言葉数の多さや語尾の韻の踏みといったフックがあり、リピートは必至。また、サビ前にブレイク*3がないのも疾走感が途切れず、いい意味でアニソンらしくない良さも出している。

因みにMVは敢えて本楽曲を流さずに撮影した自然体の姿が映された面白い作り。
今後、残念ながら開催中止が相次いだROCK IN JAPAN FESTIVALCOUNTDOWN JAPANといった大型フェスのメインステージで歌う姿が見られることを願う。

 

 

アルバム

 

Kroi『Lens』

 

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2018年結成の5人組バンド。メジャー1stアルバム。ロックにR&Bやファンク、ヒップホップと異なる色が混ざり合い、まさしく"黒"が相応しい。その黒をレンズ越しに覗く初めましての一枚。

さながら楽器のようにリズムを刻むボーカルにバンドサウンドが融合し、自然と体が動いてしまう。中間にインスト曲の『ichijiku』を挟み、アッパーな前半部にクールな後半部と、緩急が上手くついた2部構成。

メンバーのビジュアルも個性的で、今後タイアップがつくようになれば、さらに層が広まり人気が出ると思われるバンドのひとつ。

 

 

ストレイテナー『Crank Up』

 

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通算5枚目のミニアルバム。個人的2020年ベストアルバム『Applause』は通しで聴く意義のある楽曲構成だったが、それは今作も健在。近年の日本語メインでメッセージ性のある歌詞に初期から磨き続けたエモーショナルなメロディが噛み合っている。

耳に残るベースフレーズのイントロが特徴的な『宇宙の夜 二人の朝』から、飛び道具的な『倍で返せ!』、『七夕の街』の泣きのギターアウトロまで、計20分弱のさながら短編映画のような一枚。デビュー20年を過ぎても最高を更新していく。

前作のミニアルバム『Brank Map』からの今作『Crank Up』というさりげない名前遊び。あとは収録楽曲の曲名に英語が無いのは地味に初だったり。

 

SLMCT『Class:A』

 

 

2014年兵庫県で結成された4人組バンド。Slimcatの改名後初のアルバム(バンド名は変わらずスリムキャット)。骨太なサウンドに乗る全編英詞の歌声は全然スリムじゃない。早くもライブハウスに留まらないスケールを感じさせる。

英詞で歌われる以上はその発音に注目してしまうところだが、帰国子女の小川悟(Vo/Gt)の歌声からは全く気になる要素がない(現地の人に通じるかは置いといて)。重厚なサウンドに埋もれない力強さと伸びやかさを持っている。

インストの『Introduction』からシームレスに繋がるインパクト抜群の『Flashback』、バンドサウンドにサックスを取り入れた『Apartment』まで、1曲当たり3分弱の全8曲ながら振り幅があり、それでいてまとまりのある構成によって通しでも聴きやすいアルバム。

 

 

chilldspot『ingredients』

 

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メンバー全員が2002年生まれの新人4人組バンドによる1stアルバム。聴けば分かる10代とは思えない 楽曲の数々。シンプルなチルサウンドで際立つアンニュイな比喩根 (Vo./Gt.)の歌声が心地良い。夜に聴くのにピッタリ。


『Monster』のギターのリフに始まり、『Groovynight』など要所に盛り上がりどころを作りつつ、中間にインスト曲、ラストには隠しトラック的な弾き語り楽曲『私』で眠りにつくよう静かに終える。聴きやすさがある構成。

メンバーは洋楽から邦楽ロック、ボカロまで様々なジャンルの音楽にルーツにあるとのことで、まだまだ先が長い中で音楽性の変化も気になるところ。

 

 

No Buses『No Buses』

 

 

2016年結成の5人組バンドによる2ndアルバム。アーティスト名の読み方は"ノーバシーズ"で、イングランドのバンドArctic Monkeysの楽曲が由来。アーティスト名と同名アルバムは名盤の法則。

UKのガレージロックがルーツであり、ミドルテンポ中心で歪みと浮遊感が同居したどこか無機質なサウンドに全編英詞。日本ではあまり表に出ないタイプの楽曲は、耳に心地良さと爪痕を残していく。コーラスに女声がいるのも音域を広げる良いスパイス。ライブハウスだけでなくホールや野外にもマッチしそうである。

規則的にループするサウンドに引き込まれる『Yellow Card』ただし、MVはシュール。ラスト『Imagine Siblings』の約90秒に及ぶアウトロにより、テンションをピークに達した状態で終わりを告げる。

 

 

最後に

 

2021年は在宅勤務中に聴くせいなのかそれとも歳のせいか、段々と音楽の好みの変化も感じられた。学生時代にフェス受けする高速4つ打ちダンスビート、今はミドルテンポなポップス寄りのロックを聴けているのはちょうど良いのかもしれない。

ライブについては、今回挙げた中だと、[Alexandros]やcoldrain、LiSA、ストレイテナーを観ることができた。元通りになるにはまだ課題も多いが、あの空間に一日でも戻れることを切実に願う。

今回は書き切れなかったが、秋山黄色やドミコ、羊文学、millennium parade、WurtSなど今年リリースで好みの楽曲はまだまだあったり。
なので、来年は上半期下半期で記事が分けられたなと。
2021年も残り1ヶ月。今後のリリースによっては、もしかしたら当記事も更新するかも...?

今回はこんなところで、それではまた。

*1:https://natalie.mu/music/news/424309

*2:メロディーやリズム、音程などに変化を加える歌唱法

*3:メロディやリズムの流れを一時的に停止した空白部分