話数単位で選ぶ、2020年TVアニメ10選
毎年アニメブログで実施されているこの企画、始めたてのブログで恐縮ですが参加させていただきます。
なお、2020年からは集計担当が新米小僧さんからaninadoさん(aninado.com)に変わったとのこと。
対象の話数は、自分が2020年に視聴済み・視聴中のTVアニメ計21作品から、以下のルールに則って選出しました。
■「話数単位で選ぶ、2020年TVアニメ10選」ルール
・2020年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。
それではどうぞ。
※掲載は作品名の五十音順、スタッフ名は敬称略含む
一部本編のネタバレが含まれます
- 話数単位で選ぶ、2020年TVアニメ10選
- 映像研には手を出すな! 第7話『私は私を救うんだ!』
- 炎炎ノ消防隊 弐ノ章 第18話『聖女の苦悩/男、突撃アサルト』
- かぐや様は告らせたい?~天才たちの恋愛頭脳戦~ 第5話『「白銀御行は歌いたい」』
- GREAT PRETENDER 第22話『CASE4_8: Wizard of Far East』
- 呪術廻戦 第13話『また明日』
- 22/7 第7話『ハッピー☆ジェット☆コースター』
- Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア- 第18話『原初の星、見上げる空』
- BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS- 第175話『限界の先へ…!!』
- 遊☆戯☆王SEVENS 第14話『ロミン’sキッチン』
- ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第11話『みんなの夢、私の夢』
- 最後に
話数単位で選ぶ、2020年TVアニメ10選
映像研には手を出すな! 第7話『私は私を救うんだ!』
© 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会
脚本:木戸雄一郎 絵コンテ:小山菜穂 演出:おゆなむ 作画監督:なつのはむと、Prasearth Thongkhum、イェ・リーグゥォ、シュ・チャオ、レイ・ジィェンジュン、ヂャン・シュジュエン、Nyki Ikyn、七霊石
この作品は全話数にかけて見所があり正直なところ迷いましたが、個人的に登場人物が如何にしてその人物像へと成り立ったのかという過程に触れるのが好きなのでこの回を。
自主制作の作画を務める水崎氏がアニメーションで何故動きに拘るのか、その根源に迫るエピソード。何気ない日常の些細な行動・現象に対して、「どうしてそうなるのか?」と疑問を抱き、自分で検証していく姿は水崎氏という人物像と技術力の根拠を知る上で極めて重要なものだったと思います。
自分がいち作画好きになった原点に立ち返らせてくれる、そんな回でした。
炎炎ノ消防隊 弐ノ章 第18話『聖女の苦悩/男、突撃アサルト』
脚本:冨田頼子 絵コンテ・演出:加藤誠 作画監督:飯田清貴、徳田夢之介
第1期から引き続き全編を通して作画的見所の多い作品ですが、この回はいきなりアバンから田中宏紀さん全開。第一印象として良いものが目に入ると期待感を抱かされるということを実感。何より本話数の面白みは、AパートとBパートで方向性が真逆のエピソードでありながら、それぞれに合った作画や演出が取り入れられているところ。
Aパートは聖陽教の在り方に迷うシスターに焦点を当て、手の僅かな動きや浅い被写界深度による強調などキャラの心情を汲み取ったような丁寧な演出で目を引きます。
そんな内容で「良い話だったなぁ…」と余韻に浸るところにぶつけられるハイテンションギャグしかないBパート。それも当の白装束らは至って真剣にやっているシュールな笑い。当話数が扱い方に困りそうな環のラッキースケベられ体質をギャグとして一番上手く昇華できていたんじゃないかなと。
スタッフ面も絵コンテ・演出に「やがて君になる」監督の加藤誠さん、原画に田中宏紀さんや佐藤利幸さんらと当作品において初参加ながら個性的な面子が揃っており、変化球でいて完成度の高い回だったと思います。
かぐや様は告らせたい?~天才たちの恋愛頭脳戦~ 第5話『「白銀御行は歌いたい」』
©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
脚本:中西やすひろ 絵コンテ:藤澤俊幸 演出:菊池貴行 総作画監督:針場裕子 作画監督:橋口隼人、山田俊太郎、井元一彰 千花特訓パート作画:蛯名秀和 プロップ作画監督:木藤貴之
本話数は計4エピソード構成ですが、その内の千花特訓パートをピックアップ。
原画は第1期でも特訓パートの一部を手掛けた蛯名さんが今回は全てを担当。これまでの遊戯王に代表される濃い主線とダイナミックなアクションのイメージを覆すような繊細な芝居作画で驚かされました。加々美さんの技法本でも手の描き方についての対談がありましたが、取り分け"手"に対して拘りを強く感じられるシーンが多くあり、根底には遊戯王での経験が活かされているのかなと。
加えてそうした作画がちゃんと内容の面白みに繋がっていた印象でした。
こうして他作品での活躍を見ると何だか勝手に誇らしくなったりしちゃいますね。
GREAT PRETENDER 第22話『CASE4_8: Wizard of Far East』
©WIT STUDIO/Great Pretenders
脚本:古沢良太 絵コンテ:田頭しのぶ 演出:益山亮司、片桐崇 総作画監督:加藤寛崇、浅野恭司 作画監督:西原恵利香、張紹偉、荒尾英幸
全4エピソードの内、最終エピソードのピークに当たる回。
迫る大勝負に向けてこれは伏線なんだろうなと思わされるカットに目がいく一方で、風景を映したカットで何の違和感も疑問も持たずに観た結果、自分も作中のキャラ同様にまんまとだまされました。そして最後に海岸に放り出されるシーンで「えっ?」と思わず唖然。これぞ制作スタッフの思う壺。
まさしく嘘から出た真として、真がこれまで内に溜めに溜めてきた心情を吐露する場面は作画や声優の演技も相まって胸にきました。また、そのアドリブによって親身になっていた朱雀連合会の会長を(見せかけの)死という形で縁を切りつつ、会長の座からも降ろさせて自由の身にさせたのは真のできる限りの優しさなのかなと。以降も珍しく対人アクションなどもあり盛り沢山な内容でした。
呪術廻戦 第13話『また明日』
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
脚本:瀬古浩司 絵コンテ・演出:田中宏紀 総作画監督:西位輝実 作画監督:田中宏紀、伊藤進也、北村晋哉
先日放送されたばかりのこの回。
物語の大筋は原作そのものですが、漫画から映像化するに当たってのコマとコマの間の埋め方が巧いという印象。個人的な見方ですが、2010年代中盤までの田中さんならハイペース参加&ある意味浮いたとも言えるキャッチーさだったのが、近年は参加ペースが落ちた反面、作品に溶け込みつつも完全に個性を埋没させないバランス感のスタイルに変化してきたんじゃないかなと。
戦いの決着こそつきませんでしたが、この作品が元から持つ線のニュアンスと田中さんのそうしたスタイルがピタリとはまった1クール目のラストを飾るのに相応しい回でした。
22/7 第7話『ハッピー☆ジェット☆コースター』
©ANIME 22/7
脚本:大西雄仁 絵コンテ・演出:森大貴 総作画監督:まじろ 作画監督:三井麻未、田川裕子、川村幸祐、木藤貴之、りお、凌空凛、飯野雄大
ハイコントラストな空模様と普段は明るく振る舞うジュンの知られざる過去で移りゆく心模様がシンクロした画面に思わず引き込まれる回。
物語も現在と過去を織り交ぜたアップダウンの激しいさながらジェットコースターのように進行し、冗長さがありません。
また、原画にはFGO CMでお馴染みの方々がサプライズ的に参加し、要所のシーンを担当した采配により、作品としての強度を高めていた印象を受けました。
この回が後述のFGOバビロニア第18話の前に放送されていたとは、リアルタイムで体験したかった...。
Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア- 第18話『原初の星、見上げる空』
©TYPE-MOON / FGO7 ANIME PROJECT
脚本:桜井光 絵コンテ・演出:温泉中也 総作画監督:高瀬智章 作画監督:Moaang、川上大志、温泉中也
若手の中でもとびきりの存在感を放つ温泉さんの初絵コンテ・演出回。
FGOはまず修復に当たる特異点の現地協力者を見付けることが常套手段ですが、当話数ではウルク市民の生活や繋がりを感じられる描写が随所にあり、その土地に息づき存亡をかけた危機に対して抗おうとする強い意志を感じられたのがポイント。
そして、その物語の土台があるからこそBパートの戦闘描写へ気持ちを乗せることができました。背景が暗く飛行中のフィールドやCGの巨大ボスキャラと制作の苦労が垣間見えましたが、その実かつてのFate/Apocrypha 第22話を彷彿とさせるもので見応え多し。
勝手ながら、いちFGOプレイヤーでもある温泉さんの作品にかける想いのようなものが感じられる話数でした。
BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS- 第175話『限界の先へ…!!』
脚本:勝冶京子 絵コンテ:荻原健 演出:朝倉カイト、安川央里 作画監督:今木宏明、大河原烈、斉藤和也、夘野一郎、杉本麻菜美、Shelia Loewito、西原理奈子、加藤久美子
自分が小学生の頃から追っているNARUTOの後継に当たるBORUTOからはこの話数を。
殻関連のアニオリエピソードの決着となるアクション回。普段は不参加の上手いフリーの方々の名前が連なったクレジットは、NARUTO時代の作画回を連想させるもので思わず2度見。
内容としても、サラダの写輪眼の巴が2つになるタイミングをここで設けたのは上手いなと。
当話数はTwitter情報から制作進行の方が作画回を目指して原画の杉田柊さんや藤本航己さんらに呼びかけていた経緯があり、以前の担当回である第151話でも山本健さんの初参加があったので、今後の話数にも期待したいですね(欲を言えば絵コンテ・演出の方もローテではなくサプライズ的な参加があるとさらに良いものになるんじゃないかなと...)。
遊☆戯☆王SEVENS 第14話『ロミン’sキッチン』
脚本:山口宏 絵コンテ・演出:いまざきいつき 総作画監督:福島勇 作画監督:長尾浩生
今年から制作会社をぎゃろっぷからブリッジに改め始まった遊戯王新シリーズからこの回を。NARUTO同様に自分の中では特に思い入れ深い作品シリーズです。
当然ながらスタッフも一新された中、作画監督を務めた長尾さんは前作VRAINSにも参加経験有り。それでもこれまでにない新鮮味が感じられたのは、絵コンテ・演出のいまざきさんによるものが大きいのかなと。
内容としてはデュエルの無い箸休めですが、独特のギャグ描写や間の空くテンポ、金田系アクションとこれまでより緩いキャラデザ&小学生という設定だからこそ描けたものだと思います。それでいてロミンの掘り下げに今後の伏線も含まれていたりと隙が無い作り。
当シリーズはびっくりするくらい無駄のない構成なので、今後にも期待大。
ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第11話『みんなの夢、私の夢』
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
脚本:平林佐和子 絵コンテ・演出:伊礼えり 総作画監督:横田拓己、冨岡寛、渡邊敬介 作画監督:市原圭子、伊礼えり、尾尻進矢、北島勇樹、木村文香、鐘文山、舘崎大、冨吉幸希、山内尚樹
作品全体でも演出面が良かったんですが、特出して当話数が印象的。
これまでとキャラデザが変わったんだよなーと何気なく第1話を観てみたら「ライブシーンのCGが違和感無い!」、「演出が凝ってる!」と意外性のあるダークホース的な作品でした。
詳細な感想は以前の記事をどうぞ。
最後に
上記の10選には挙げきれませんでしたが、作画的にはブラッククローバー第151話やデジモンアドベンチャー:第2話なども印象的でしたね。
今年は皆さんご存じの通り新型コロナウイルスの影響で制作・放送スケジュールが大きく崩れた一年でした。そんな状況下でもこうして一年を振り返られる機会ができたのは幸いなことだなと思います。そして制作スタッフへの感謝の気持ちを忘れず、来年も素敵な作品に巡り会えることを願います。