ライブ形態の遷移 2020 ⇒ 2021
2021年初記事は音楽の動向について。
色々あり過ぎた2020年の振り返りと今後の話。
はじめに
そもそも自分は音楽(ジャンルは邦楽ロック中心)が好きで、例年20回以上のライブに行ったり学生時代は軽音サークルに入ってたりしていた人間。趣味としての重きも音楽 >アニメだったんですけど、昨今の状況によりライブに行く回数が2020年はたったの3回と激減。代わりにアニメや映画の視聴本数が増えていき、今では比重としては同程度という具合になっちゃいました。
因みに2020年に足を運んだライブは以下の通り。
2020/02/01 Suspended 4th / the band apart『GIANTSTAMP TOUR Ⅱ TURBO』
2020/02/02 BLARE FEST. 2020
2020/12/11 UNISON SQUARE GARDEN『USG 2020 “LIVE (on the) SEAT”』
見ての通り、見事に空白の10ヶ月。
年末も幕張で開催される屋内フェス『COUNTDOWN JAPAN 20/21』に足を運ぶ予定でしたが、それも叶わず。数え切れないほど中止になるライブに閉店に追い込まれるライブハウス...お知らせでのアーティストや運営スタッフのコメントを読む度に胸を痛めましたね。そんな状況下で自分はライブハウスの支援プロジェクトなどにも参加しつつ、配信ライブを視聴して過ごす日々でした。
新型コロナウイルスが発生してからのライブ形態の遷移
ここからは自分の認識でのライブ形態の遷移とそれに対する自分の考えとかを書いていきます。ざっくりとした内容なので、具体的な市場の金銭の話とかは調査会社の記事等を参考にどうぞ。
主な遷移
3月~
①ライブの中止・延期、CDの発売延期
②パッケージ化されているライブ映像の無料公開
4月~
③〇〇つなぎ、ライブハウス支援企画
④無観客無料配信ライブ
⑤無観客有料配信ライブ(投げ銭込み)
7月頃~現在
⑥政府のガイドラインに沿った有観客ライブ+配信
①ライブの中止・延期、CDの発売延期
言わずもがな。個人レベルの制作活動ならできてもその先の工程でどうしても他人との直接的な関わりが必要になってきてしまうので、どのアーティストも例外ではなく影響を受けていましたね。
②パッケージ化されているライブ映像の無料公開
コロナ禍以前でもニコ生やGYAOといった場で極めて短期間で公開しているアーティストはいましたが、この時期は大御所・若手を問わず主にYouTubeの場で無料公開に踏み切っていました。そもそもライブ映像はアーティストや特典内容によっても変動がありますが、DVDなら5~7,000円、Blu-rayなら6~9,000円が主な価格帯というところ。基本的にはファンしか購入しない背景からレンタルもされていない媒体。それが無料で観られる訳ですから、宣伝効果はあるにしても本来であれば損しかないこの取り組みが異例なのは間違いありません。
この記事を書いている2021/1現在では大多数の動画が公開終了していますが、現存しているもので例えばMr.Childrenのこちらのライブ映像では約800万回再生という驚異的数値。この後の配信ライブも同様ですが、現地のキャパを大幅に超える人数にライブを観てもらえる機会な訳です。
Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25 (前編)
この無料公開は、未曾有の事態にライブはおろか外出すら制限された状況下では、最適な手だったと思います。ここでポイントとなるのは"無料"と"全編"公開ですが、結果論で言えば後の配信ライブへの繋ぎとしても、アーティストのファン以外の層へ興味を持ってもらう意味でも効果的だったんじゃないかと。価格にかかわらずお金が掛かるというのはそれだけでハードルになり得る要素。個人個人で何かしら線引きがあるはずですが、公開先も会員登録が不要なYouTubeということで敷居は低かったのではないでしょうか。
③〇〇つなぎ、ライブハウス支援企画
〇〇つなぎとは、ギターやベースなどのパート別で数十秒の動画をリレー形式で繋げてSNSに投稿する自発的な企画のこと。星野源の『うちで踊ろう』もこの時期でした。ファン心理としてはまずアーティストが元気にしているかが心配になるので、この顔が見える距離感の近い試みは励みになったんじゃないかなと。
併せて休業に追い込まれたライブハウスへの支援企画も始まって、自分も微力ながらいくつか参加させていただきました。仮にこの事態が終息した先でライブを行う場所が残っていなければ意味がないし、そこで活動を支えるスタッフがいてこそなのでこの支援は必須。
まだ情報が錯綜する中、一部からライブハウスが悪だと扱われたのは憤りを感じてしまいましたね...。
あと、自分の認識だとこの辺りの動き出しが早かったのって東北ライブ大作戦の方々なんですよね。バンドの枠を越えた繋がり、その思いやりと行動力に対して素直に頼もしい気持ちになりました。
④無観客無料配信ライブ
⑤無観客有料配信ライブ(投げ銭込み)
⑥政府のガイドラインに沿った有観客ライブ+配信
現在はこの辺りの状態ですね。自分も大体20公演分は観たと思います。
当初は無料だったアーティストも今では有料形式がほとんど。重複しますが、始めは無料にすることでファン以外にも興味を持ってもらうきっかけになるのでこの流れで良かったんじゃないかと。また、端末があればいつでもどこでも観られる、チケットの枚数にも限界が無いという配信ならではのメリットもあったり。
一言で配信ライブといってもその内容は多種多様で、無観客だからこその工夫が施された演出もよく見られました。逆にそういったものが見られないと観客の歓声・拍手・熱量が無い分、退屈さが否めなかったのが正直なところで、観客と共に創り上げてこそのライブというのを実感しました。やはり生のライブの代替にはなり得ないなと。画面という隔たりがありライブ感に欠ける中、もはやいち映像作品として演出が振り切っていたものが個人的に楽しめました。
無観客配信ライブの演出例
・アーティストに寄ったカメラワーク
・エフェクトを乗せた映像
・観客席のステージ化
・観客席の舞台装置化
・複数に跨がったステージ
映画もそうですが、半強制的に観る環境にいないと人間って集中力が1時間程度で切れてしまうもの。その対策としても上記のような目を引く工夫は効果的。
また、セットリストとしては、尺が普段より短い60~90分程度のこともあってアルバム再現やリクエスト制のものが多かった印象ですね。ファン心理的にもそうした内容の方が視聴意欲が湧きます。
自分が観たものだとONE OK ROCKやRADWIMPS、TK from 凛として時雨、UNISON SQUARE GARDEN、LiSA辺りのライブは演出が凝っていたなと。普段からアレンジに幅のあるアーティストは応用が利きますね。
ようやく数か月前から有観客のものも開催され始めましたが、その実キャパは半分程度で観客の声出しも禁止されてまだまだ本来の形にはほど遠い...それでも確実な一歩。
キャパを半分にしたとはいえ、チケット代も値上がりし、そもそもの感染リスクといった要因からかチケット即売はあまりなかった気がしますし、『COUNTDOWN JAPAN 20/21』も一般発売日以降もしばらくチケットが残っていました。
それと、観客が声を出せない関係上、シンガロングやコール&レスポンスのあるタイプの曲やパフォーマンスはどうするのかと思いましたが、メンバーがその分声を出したりすることで全く披露しないことはほとんど無かったですね。アーティストの気遣いに感謝。それに伴い却って曲が音源に近いバージョンになるという現象もあったり。
そして、自分としては今のところ有観客形式は1本だけ行けましたが、ライブの音ってこんなにでかかったんだなと泣きそうになりましたし、帰り道で耳に残る耳鳴りすら懐かしい感覚になりました。
2021年のライブの形
上記を踏まえて、新しく⑦に当たるものは何になるか...正直検討はついていません。
ただしばらくはキャパを増やせない関係上、⑥政府のガイドラインに沿った有観客ライブ+配信がスタンダードになると思います。
その中で如何にかつてのライブ感を味わえるか、はたまた全く違うアプローチの楽しみ方を見つけるか、刻一刻変化する環境下での適応力が求められます。
個人的には配信の場合に、空いた観客席にカメラを置いた観客目線の映像が却ってライブ感があってアリなんじゃないかなと思ったり。
おまけ
せっかくなので、現在無料公開されているライブ映像を2つほど紹介。まずはBGV代わりでも良いので貴重な機会に是非。
[Alexandros]
[Alexandros] - VIP PARTY 2018 at ZOZO MARINE STADIUM (Live)【期間限定公開】
タイアップ多数、フェスにもテレビにも引っ張りだこのUKロックをベースとしたロックバンド[Alexandros]による自身史上最大キャパのライブ映像。
特にハナウタがお気に入り、もはや定番演出となったスマホライトですが、キャパが大きいほど映えますね。
coldrain
coldrain - 【Limited Release】20180206 LIVE AT BUDOKAN
ラウドロックバンドcoldrainによる初の日本武道館公演のライブ映像。
1Fはスタンディングということで、モッシュ・ダイブだらけのもはやライブハウスと化した武道館。ビジュアルに統一感のあるバンドはかっこいい。冒頭に書いたBLARE FEST.もこのバンドの主催フェスで、そのときの模様の一部もYouTubeで公開されているので併せてどうぞ。
最後に
音楽が好きということには変わりないですが、ライブが無い環境にどこか慣れてしまった自分もいて、精神的にはよろしくない2020年でした。
2021年はさらに前進した形でライブが楽しめることを願うと共に、支援できるものがあれば引き続き参加していきたいですね。来月2月には2本観に行く予定。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回の音楽記事は最近注目しているアーティストとか、もう少し個人的な内容になるかなと。
それではまた。